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3Dプリンタが可能にする「自宅で銃製造」

小林 啓倫 2012/10/3 19:40 小林 啓倫

米国ではいま、3D(三次元)プリンタの普及が話題になっている。これは文字通り三次元の物体を作り出すことのできる装置で、これまでも工場や研究所などを中心に導入されてきた。しかし技術の進歩により、このところ小型化・低価格化が進行。作り出せる物品の精度にもよるが、現在は10万円程度のものも登場し、いよいよ一般人も実用レベルの3Dプリンタを所有するという時代が目の前に来ているのだ。

また3Dプリンタを取り巻く環境も、その普及を後押ししている。3Dプリンタを使うには当然ながら物品の3Dデータが必要だが、それを作成・処理できる様々なアプリケーションが普及しており、作成したデータをネット上で公開したり、ネットからデータをダウンロードしたりといった行為も行われるようになっているのだ。さらに近年の米国では、「自分で新しいモノをつくり出す」という姿勢がブームとなっており、「メーカー(Maker)ムーブメント」という言葉も登場している。『ロングテール』で一世を風靡したベストセラー作家、クリス・アンダーソン氏も新刊『MAKERS』のテーマとしてメーカームーブメントを取り上げているほどで、3Dプリンタの需要を生む土台が整備されつつあると言えるだろう。

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3Dプリンタで銃を製造しようという動きが起きている。

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銃も3Dプリンタで製造可能

モノづくりのあり方を変えると期待されている3Dプリンタ・3Dプリンタユーザーの普及だが、一方で気になる話もある。3Dプリンタを使って、実際に弾丸を発射できる銃を作ってしまおうという動きが起きているのだ。

例えば"HaveBlue"を名乗るウィスコンシン州の人物は、3Dプリンタで22口径の小火器を製造し、その様子を銃愛好家のオンラインフォーラムで公開している。その主張を信じれば、製造した銃で200発の実弾を試射したところ、何の問題も起きなかったそうだ。またテキサス大学ロースクールに通う学生らが立ち上げたサイト"Defense Dist."では、「ウィキ・ウェポン」というプロジェクトを掲げ、3Dプリンタ(しかもローエンドなもの)で製造可能な銃を設計・公開することを目指している。そのために必要な予算として、2万ドルの寄付をネット経由で集めることにも成功しており、支援の広がりという点でも注目のプロジェクトである。

プログラミングの世界にはオープンソースという概念があり、実際にリナックスなどの具体的な成果となって現れているが、さながら銃の世界のリナックスを目指すものと言えるだろう。しかしそのようなことが、短期間で可能になるのだろうか。気になるのは、米軍でも既に3Dプリンタを活用し、戦場で必要なパーツを即座に手に入れる研究が行われているという点だ。実際にアフガニスタンにおいて、3Dプリンタを現場に持ち込む試みが行われているとの報道もある。もちろん軍が使用するのはハイエンド製品だが、仕組みの上では軍も頼るような「武器配布ネットワーク」が既に登場しつつあることを考えると、「3Dプリンタで誰もが銃の製造に関与できる」という未来はそう遠くないのかもしれない。

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